日本在宅ケア学会(以下「本学会」という)会員は,本学会の目的に則り,在宅ケアおよびケア一般の理論及び実践の向上・発展を図り,研究の交流に努め,もって人類の健康と福祉の増進に貢献できるよう最善の努力を行うことを使命とする.
本学会会員は,本学会倫理綱領を遵守するとともに,本学会会員が属する他の学協会及び専門職能団体の倫理に関わる綱領や諸指針を遵守する.
本学会会員は,在宅ケア学の研究及び実践に携わる者として,学問の自由の下に,自らの専門的な判断により真理を探究する権利を享受するとともに,専門家として社会の負託に応える重大な責務を有する.
本学会は,会員が社会に対する説明責任を果たし,科学と社会の健全な関係の構築と維持に自覚的に参画すると同時に,その行動を自ら厳正に律するための倫理規範を明示する.
この行動規範は,平成18年10月3日に出された日本学術会議の声明「科学者の行動規範」に準拠して作成された.
(科学者の責任) | |
1. | 会員は,自らが生み出す在宅ケア学およびケア一般の専門知識や技術の質を担保とする責任を有し,さらに自らの専門知識,技術,経験を活かして,人類の健康と福祉,社会の安全と安寧, そして地球環境の持続性の保持に貢献する責任を有する. |
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(科学者の行動) | |
2. | 会員は,科学の自律性が社会からの信頼と付託の上に成り立つことを自覚し,科学的真理に忠実であり,かつそれにもとづき誠実に判断し,行動する. また,科学研究によって生み出される知の確実性や正当性を,科学的に明示するために最善の努力を傾注するとともに,科学者コミュニティ,特にケア関連領域における科学者相互の評価に積極的に参加する. |
(自己の研鑽) | |
3. | 会員は自らの専門知識・能力の維持向上に努めるとともに,科学技術と社会・自然環境の関係を広い視野から理解し,常に最善の判断と姿勢を示すように弛まず努力する. |
(説明と公開) | |
4. | .会員は,自らが携わる研究の意義と役割を公開して積極的に説明し,その研究が人間,社会,環境に及ぼし得る影響や起こし得る変化を評価し, その結果を中立性・客観性をもって公表するとともに,社会との建設的な対話を築くように努める. |
(研究活動) | |
5. | 会員は,自らの研究の立案・計画・申請・実施・報告などの過程において,本規範の趣旨に沿って誠実に行動する. 研究・調査データの記録保存や厳正な取り扱いを徹底し,ねつ造,改ざん,盗用などの不正行為を為さず,また加担しない. |
(研究環境の整備) | |
6. | 会員は,責任ある研究の実施と不正行為の防止を可能にする公正な環境の確立・維持も自らの重要な責務であることを自覚し,科学者コミュニティ及び自らの所属組織の研究環境の質的向上に積極的に取り組む.また,これを達成するために社会の理解と協力が得られるよう努める. |
(法令の遵守) | |
7. | 会員は,研究の実施,研究費の使用等にあたっては,法令や関係規則を遵守する. |
(研究対象などへの配慮) | |
8. | 会員は,研究への協力者の人格,人権を尊重し,その福利に配慮する.動物などに対しては,真摯な態度でこれを扱う. |
(他者との関係) | |
9. | 会員は,他者の成果を適切に批判すると同時に,自らの研究に対する批判には謙虚に耳を傾け,誠実な態度で意見を交える.他者の知的成果などの業績を正当に評価し,名誉や知的財産権を尊重する. |
(差別の排除) | |
10. | 会員は,研究・教育・学会活動において,人種,性,地位,思想・宗教などによって個人を差別せず,科学的方法に基づき公平に対応して,個人の自由と人格を尊重する. |
(利益相反) | |
11. | 会員は自らの研究,審査,評価,判断などにおいて,個人と組織,あるいは異なる組織間の利益の衝突に十分に注意を払い,公共性に配慮しつつ適切に対応する. |
附則 | 本規範は,平成22年1月24日から施行する. |